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城川町の地質
 城川町の地質に対する考え方も、プレート理論の登場によって大きく変わりました。それを可能にしたのは、放散虫化石などの微化石層序学や古地磁気学といった研究の進展によります。
 四国の地質は、断層で境された地質帯の。東西帯状配列で特徴づけられています。城川町にはその内の、「仏像構造線」が東南端を通過しています。したがって、城川町の大部分は仏像構造線以北の「秩父帯」で、南東部のわずかな部分が「四万十帯」に属することになります。
 秩父帯と呼ばれてきた地帯は、起源を全く異にする三つの地帯があつまった複合的な地帯であることが明らかになってきました。北から、秩父地帯・黒瀬川地帯・三宝山地帯とよばれます。
 秩父地帯は、主として海洋プレート物質からなる、トリアス紀(三畳紀)からジュラ紀に形成された付加体が分布します。付加体は黒瀬川古陸に付加したと考えられています。
 黒瀬川地帯は、黒瀬川古陸に起源をもつ地帯です。黒瀬川構造帯構成岩類、古生代付加体、被覆堆積層の三つに分けられます。黒瀬川構造帯の三滝火成岩類や寺野変成岩類は大陸の基盤岩類で、ゴンドワナ大陸に属する岩石だと考えられます。岡成層群などのシルルーデボン系は、それらの上を被った石灰岩や酸性火山砕屑岩です。オーストラリアにも、この時期に同じ様式の火成活動による岩石が分布しています。
 古生代付加体は、黒瀬川古陸がアジア大陸東縁に到達する以前、赤道地帯にあった時すでに古陸の一部となっていた付加体です。
 被覆堆積層は、黒瀬川構造帯構成岩類や古生代付加体を不整合におおうペルム紀(二畳紀)からジュラ紀の種々の年代の地層です。海洋プレート起源物質を全く含まなくて、礫岩や酸性凝灰岩を特徴的に含むような、大陸と関係の深い地層です。
 三宝山地帯には、ジュラ紀から白亜紀初期に形成された典型的な付加体とその上に堆積した大陸斜面の堆積層(今井谷層群=鳥巣層群)が分布しています。
 四万十帯にも付加体が分布しています。仏像構造線に接する部分にはその中で最も古い白亜紀初期の付加体が分布し、南へゆくほどその年代は若くなり、フィリピン海プレートが沈み込んでいる南海トラフでは現在も新しい付加体が形成されつつあります。最近では、三宝山地帯と四万十帯の付加体共に、アジア大陸東縁の、後に日本列島となる部分に順番に形成された一連の付加体とみなされています。

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