イベント情報


西予市では、四国西予ジオパークを広めるため様々な取り組みを行っています。ここでは、今後開催予定の最新のイベント情報をお知らせします。
令和2年7月26日に愛媛県西予市明浜町に分布する中生代白亜紀の地層「法花津(ほけづ)層」の露頭近くで見つかった転石の石灰岩ノジュールから、スエヒロキヌタレガイ属 Acharax sp.の一種とみられる二枚貝の化石が発見されました。これまで法花津層からは貝類などの大型化石は発見されておらず、今回が初の報告となります。また本化石は、国内のスエヒロキヌタレガイ属の中でも古い記録であり、四国の四万十帯おいては初めての報告例であることが明らかとなりました。この成果は令和7年8月発行の「愛媛県総合科学博物館研究報告第30号」に掲載されました。
【本成果の文献情報】
タイトル: 愛媛県西予市の四万十帯法花津層から産出したスエヒロキヌタレガイ属(キヌタレガイ科二枚貝)化石
著 者: 山岡勇太(埼玉県立自然の博物館),榊山匠(四国西予ジオミュージアム),船場大輝(四国西予ジオパーク推進協議会)
※所属は投稿当時のもの
掲 載 日: 2025(令和7)年8月31日
掲 載 誌: 愛媛県総合科学博物館研究報告第30号
【本成果で報告した化石について】
法花津層産Acharax sp. Aは右殻側,Bは左殻側,Cは背側から,塩化アンモニウムを用いてホワイトニング後に撮影した.後縁から腹縁にかけての大部分は欠損しており,左殻の後方は内型である.b:殻頂(beak),lg:靭帯(ligament),am:前縁(anterior margin),adm:前背縁(anterodorsal margin),pdm:後背縁(posterodorsal margin),靭帯(lg)は化石の母岩側に付着する.スケールバー=10 mm.画像は愛媛県総合科学博物館研究報告第30号より引用.
本化石は、殻の後ろから腹側にかけての部分が欠けた、2枚1組の標本です。殻の大きさは約6cmで、前後に細長い楕円形をしています。殻の前方から中央部にかけて、幅の広い放射肋(ほうしゃろく)が少なくとも12本確認できます。現在生きているキヌタレガイ科は、スエヒロキヌタレガイ属とキヌタレガイ属の2つのグループが知られていますが、両者の違いは「靭帯(じんたい)」とよばれる器官にあります。「靭帯」は2つの貝殻をつなぐ器官で、一般的に貝殻を開く役割があります。スエヒロキヌタレガイ属は貝殻の外側に靭帯を持つ一方、キヌタレガイ属は貝殻の内側に靭帯を持つという特徴があります。今回見つかった貝化石を調べた結果、殻の外側に化石化した靭帯と見られる構造の一部が確認できました。以上の特徴から、本化石をスエヒロキヌタレガイ属(Acharax sp.)であると同定しました。
(その他、産出場所や意義など詳細は下記の資料をご覧ください。)
【本成果の解説資料】
資料:西予市明浜町から産出したスエヒロキヌタレガイ属の化石について(pdf)
【お問い合わせ先】
四国西予ジオミュージアム 担当:榊山 匠
〒797-1717 愛媛県西予市城川町下相945番地 四国西予ジオミュージアム
TEL. 0894-89-4028
FAX. 0894-89-3400
E-mail: takumi.sakakiyama@city.seiyo.ehime.jp