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はじめに

 城川町には、日本では珍しい約4億年前のサンゴ化石を産する地層から、約100万年前の植物化石を含む地層までが、わずか南北12キロほどの幅の中に次々と現れます。地質年代名でいうと、古生代のシルル紀・デボン紀・ペルム紀、続く中生代の三畳紀・ジュラ紀・白亜紀、さらには新生代第四紀と、こんなに狭い場所の中に、4億年に近い地球の歴史が詰まっているというのも、考えてみれば不思議な話です。
 この本は、城川町で産出する保存の良い化石を中心に、本町ゆかりの黒瀬川構造帯が露出する近隣の町で見付かったものも、写真やスケッチを用いて出来るだけわかりやすく紹介するよう心掛けています。
 また、実際に野外に出掛けて化石採集をする際に、少しでも役に立つような資料にもなるように努めています。
この本が私たちのふるさとについて楽しく学習し、太古の世界に思いを馳せていただく一助となれば幸いです。
 なお、本書をまとめるにあたりまして、大阪学院大学教授の小畠郁生先生には研究や授業で大変御多忙の中、私たちのつたない原稿にお目通しいただき、御教示・御指導を賜りました。神戸大学教授の波田重煕先生には、構造地質学的な見地から城川町の地質や黒瀬川構造帯の意義・成因について詳しく御指導いただきました。なお、本文の一部は、「城川町地質館」の展示解説として波田先生に作成していただいた文章を参考にしています。佐川町地質館の溝淵富弘さんには、シルル紀の化石や鳥巣石灰岩のサンゴ等の採取や同定に御協力頂きました。心から厚くお礼申し上げます。

2000年12月
水野岩根・高橋 司

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