活動アルバム
市内外の皆さんに四国西予ジオパークを理解していただくため、イベントや研修会など様々な取り組みを行なっています。ここではこれまで実施してきた活動の記録をご紹介します。
イベント「四国西予ジオパークについて学ぶ」が開催されました。
3月4日に三瓶町でイベント「四国西予ジオパークについて学ぶ」が開催されました。
本イベントは三瓶教育課が主催し、令和5年度に認定10周年を迎えるに四国西予ジオパークについて、三瓶町の地形・地質サイトの一つである須崎海岸に焦点を当てながら、保全や10年間の取組みについて参加者と一緒に考えるための催しです。
まずはじめに、屋形船のジオクルーズで須崎海岸を周遊しました。
ガイドを務めるのは、愛媛県立宇和高等学校三瓶分校の生徒たち。
この一年間ジオパークや三瓶町のことについて勉強し、ガイドの練習を重ねてきました。
緊張しているかなと思いきや、カメラを向けるとピースするなど、余裕の表情。
頼もしかったです!
屋形船が出港し、ガイドスタートです。
分校生たちは、先輩たちが作った航路図をお見せして、本日の見どころをご紹介。
出港してしばらくすると、須崎海岸の遠景が見えてきました。
先端の岬における起伏が観音さまの寝姿に見えるということで地元では「寝観音」と呼ばれている、というエピソードを分校生たちは披露していました。
須崎海岸へ近づくと養殖いかだが見えてきました。
このあたりではマダイを養殖しています。
人の手で孵化させたマダイの赤ちゃんを生簀にいれ、2年間で20gから1.5キロまで成長させる、という紹介がありました。
船内では分校生たちからマダイの赤ちゃんの重さを模したルアーと、1.5キロの成魚の重さを模した砂のペットボトルが配られました。
実際に手で持って重さを比べ、こんなに大きくなるんだと参加者も体感することができました。
飼料も色々な種類が開発されています。
左の赤茶色の飼料が魚粉なしの養殖用飼料で、右のこげ茶色の飼料が魚粉ありの養殖用飼料です。
魚粉ありの方が匂いも強く、魚たちの食いつきが良いとのことでした。
タイやヒラメ、奥地あじなどのラミネート写真を使って、三瓶の海の恵みについて丁寧に紹介していました。
航路の途中では令和2年7月の降雨で崩落した崩積土も見られました。
崩落当初よりもずいぶんと土量は減少しましたが、人の手による撤去はまだまだ難しそうな印象でした。
この場所は崩落当初から地質コンサル会社に委託し、現在もモニタリングを行っています。
須崎海岸の通称 “屏風岩” 。縦じまの酸性凝灰岩を間近に見ることができます。
大きな岩壁は写真の岩壁の後ろにもあり、それらは地層が一連なりとなっています。
「前後の岩壁が重なり、ちょうど地層が一連なりに見える瞬間があります。シャッターチャンスですよ!」
分校生たちの声掛けもあって、船内では写真を撮る参加者たちで盛り上がりました!
その後は屛風岩の真横にある巴理島を一周しながら、地域で行われるいかだレースのお話など、
分校生たちから地元ならではの行事や習慣などを教えていただきました。
クルーズの最後には、分校生たちからこんな素敵なプレゼントが。
ジオパークの学習を進める中で三瓶町周木の砂浜を見学したときに拾ったシーグラス(波にもまれて丸くなったガラス片)のキーホルダーです。
浜辺には彼らの想像以上に漂着物が流れ着いていて、海をきれいにしなければ、という思いが芽生えたそうです。
ガイドされた分校生の皆様、本当にお疲れ様でした!
陸に上がった後は、三瓶文化会館へ移動。
一般社団法人ノヤマカンパニーの加藤雄也さんによる、ジオパークの学習会です。
ジオパーク活動は、科学的に価値のある地層、岩石、地形などが適切に守られていない、という危機感から始まったことや、ジオパークの認定は「ジオパークを目指す地域は、持続可能な地域社会の実現のために、 ジオパークとして、その地域にあったやり方で住民、行政、研究者などが、ともに考え続けているかどうか」を判断基準としていること、ジオパーク活動の目的は「より多くの人が大地へのリスペクト(感謝や畏れの気持ち)をもって暮らす社会を目指す」ことである等、西予市の中でも理解が十分に進んでいないと加藤さんが認識された事柄を中心に、丁寧に解説していただきました。
また西予市におけるジオパーク活動の10年を振り返り、教育活動や地域づくりは申し分ないものの、研究の充実や日本ジオパークネットワークへの貢献、南海トラフ地震に向けての取組みなどは今後の課題であるだろう、と自身の考えを紹介されました。
学習会の後は参加者から建設的な質問や提案が挙がりました。
認定10周年を迎える新年度に先駆けて、これまでの取組みを参加者とともに振り返る貴重な機会になったのではないかと思います。
(事務局:S)