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西予市では、四国西予ジオパークを広めるため様々な取り組みを行っています。ここでは、今後開催予定の最新のイベント情報をお知らせします。

2020年02月15日

【問題の答え有り】歴博の特別展に協力しています。

カテゴリー:未分類

2月13日に愛媛県歴史文化博物館を訪問しました。

愛媛県歴史文化博物館では2月15日から特別展「四国・愛媛の災害史と文化財レスキュー」が開催されます。
特別展「四国・愛媛の災害史と文化財レスキュー」(ホームページ)

この特別展に四国西予ジオパーク推進協議会も協力しています。
本日は展示室へお邪魔し、展示物の準備を行ってきました。

自然災害の仕組みを理解するために、私たちが住む大地の成り立ちへの理解は欠かせません。
ジオパークに関する展示では、西予市の大地の特徴、地形と災害の関わりとその啓発活動について紹介しています。

さて、解説パネルの中には明浜町高山の地形図を例に、地形の「谷すじ」を地図から判別する問題があります。
ここからはその問題の答え合わせと解説をしていきましょう。

(地理院地図より)

地形図の大きな特徴は、茶色の線が縞々に引かれていることです。(これを等高線と呼びます。)
等高線が地形の起伏や傾斜の緩急を表現することで、地形の特徴を地図上で読み取ることができるわけです。

地形の起伏とはすなわち、周囲より盛り上がっている所「尾根」と、周囲よりへこんでいるところ「谷」に分けられます。
大雨などが降ると、土石流などが谷すじにそって標高の低いところへと流れていきます。
土石流から逃れるためには、どこに谷があるのかを知っておくことがとても重要です。

ここで一度実際の地形の写真を見ながら、谷と尾根を確認してみましょう。

上の写真は西予市城川町のとある山の写真です。
一概に山といっても、そこには盛り上がっているところ(尾根)とへこんでいるところ(谷)があるのがわかりますか?

写真の赤線が尾根すじ、青線が谷すじになります。
もちろん細かなものを含めるとこの他にもたくさんありますが、この中でも目立っている箇所を示しました。

それでは再び地形図に戻り、地形図上で谷がどのように表現されているのか見てみましょう。

黒枠の部分を拡大して、谷の見つけ方を解説します。

等高線が丸く閉じている所が山頂になります。
三角点(測量の基準として設置された地点)があったり、標高が示されていることもあります。

この山頂に対して等高線がへこんている(「く」の字になっている)部分があります。
これが谷を表しています。

谷の示す等高線の真ん中の一番へこんでいる部分を、線で結んだものが「谷すじ」になります。
上の写真では2つの谷すじが合流して、中浦まで降りているのが分かりますね。

それではお待たせしました、高山周辺に存在する谷すじは以下の青線になります。

こちらも細かく見るともっとたくさんあるのですが、代表的な谷すじを示しました。
これだけでも、高山の周りにはたくさんありますね。
何より、流れてきたものが全部市街地に向かうような地形であることが分かると思います。

これはこの高山の地形の成り立ちに原因があります。
明浜の海岸部はリアス海岸と呼ばれ、海岸のすぐそばまで山の急傾斜が迫る、平地の少ない地形です。

もともと氷河期には海水面が現在の位置よりも低く、ここはかつて山の中腹でした。
それが現在の気温となり、今の海水面の位置なったことで、谷すじから流れてきた土砂が河口に堆積して、現在の高山などの平地を形成するに至った訳です。

そのような経緯で平らな土地ができた訳ですから、今後大きな自然災害があったときに谷すじに沿って土石流などが流れてくるということは想像できるのではないでしょうか。
こうした知識が前もってあると、いざ災害が起こったときにいち早く避難しようという意識が持てると思います。

西予市が公開している防災マップでは、高山の周囲は土砂災害危険個所としてほとんどの部分が網囲いされています。
防災マップだけを見ると「どうしてこんなことになっているのだろう」と思いますが、地形図を見て周囲の谷すじや傾斜を読み取ることができるようになると、私たちはそのような険しい大地の上に住んでいるのだという理解が得られます。

西予市の防災マップは下記リンク先から誰でも見ることができるので、高山の周囲やご自身のお住まいの周囲も是非ご覧になってみてください。
西予市公開マップ

(事務局:榊山)