生産者ストーリー 宇和盆地の気候風土を生かした
4人の「田力」の汗の結晶
田力本願株式会社



柑橘や石灰岩など地域の恵みを生かした米づくり

標高200mの宇和盆地に広がる田園風景。盆地ならではの寒暖差と、肱川の清涼な水、肥沃な土壌に恵まれたこの豊かな大地において田力米は育まれている。
自分たちが作ったこだわりの米を直接消費者に届けたいと、地元の若手農家4人が集まり、プロジェクトチームを結成したのが2014年。その後法人化し、「田力米」ブランドを立ち上げた。4人のメンバーそれぞれが米づくりを行いながら、田力本願としてブランド米の栽培も行う「二足のわらじ」だ。
美味しさを追求しブランドとしての価値を高めるため、できる限り減農薬に取り組む。無理やり肥料を与えて収穫量を増やすのではなく、環境負荷を減らして米の質を高め、食味をより良くしていくことが目標だと、代表の中野さんは言う。地元にある資源を活用し、循環型で持続的な米づくりにこだわっている。

そのこだわりは、米を育てる土づくりから始まる。
良い土壌づくりには欠かせない石灰質肥料は、一般的にカキ殻等を使用することが多いが、田力本願では西予市に多く分布する石灰岩や、沿岸部で採れるアコヤ貝を活用。地元産の石灰質肥料を使用することで土壌のpH(酸性・アルカリ性)を調整し、土壌の環境を整える。
もう一つが、愛媛県の特産品の代表であるみかんを使ったボカシ肥料だ。西予市で採れたみかんをジュースなどに加工する際に出るみかんの搾りかすに着目し、搾りかすを発酵させて作る「みかんボカシ」を開発。みかんの糖分が酵母や乳酸菌のえさとなり、発酵を促進することで土壌の環境が良好に保たれ、根の張りが良くなり稲が健康に育つのだという。みかんボカシの製造は、地元の知的障碍者就労支援施設に生産を委託しており、地元に仕事を生み出す農福連携にも一役買っている。

品評会での実績に裏打ちされた、確かなブランド力

「米づくりは毎年一年生」
ベテラン農家でさえしばしば口にするこの言葉。
異常気象に見舞われることの多い近年、自然相手の農業の難しさは増している。そんな中でも高品質かつ安定した生産を続ける姿勢はプロそのものだ。

しかし、会社を興しブランドを立ち上げたばかりの頃は「田力米」の名は世に知られておらず、知名度が全くない状態からのスタートだった。
そのためにまず取り組んだのが、積極的なメディアへの露出。農繁期の忙しい時期でも、取材の時間を捻出し現場のリアルな姿を伝え続けた。その成果もあり、今では県外で声がかかることも多いという。
また、いくつものコンクールや品評会にも毎年出品し、数々の金賞や入賞を獲得。客観的な評価を得てブランド価値の向上につながっている。
現在「田力米」ブランドで生産しているのは、にこまるやコシヒカリなど4品種。今後は、愛媛県が開発した新品種「ひめの凛」の生産も予定しており、地域で信頼される会社として規模拡大を目指し歩み続けている。

「共同して農業ができる仲間を増やすための土台を作りたい」
そう語る代表の中野さん自身、県外で育ち両親の出身地である西予市宇和町に戻り就農したIターン農家。しかし、いざ就農しようとした際には相談できるところもなく、一人で試行錯誤を重ねてきた経験を持つ。そんな経験から、高齢化が進み就農人口が減っている今、農家同士がタッグを組み、農業を支えていくための仲間を集めるための土台を作り、その受け皿になりたいと意欲を燃やしている。



この生産者の商品

田力米

田力米

通常より大きな1.95~2.00mm (通常は1.80~1.85mm)で選別しており、大粒でふっくらとした炊き上がりに。一粒一粒に、お米のうま味が凝縮されています。

生産者データ

田力本願株式会社

愛媛県西予市宇和町田野中323-2
TEL:0894-89-1693 FAX:0894-89-1693
MAIL:ecomenakano@gmail.com URL:https://farmer-inoue.jimdo.com/