活動アルバム
市内外の皆さんに四国西予ジオパークを理解していただくため、イベントや研修会など様々な取り組みを行なっています。ここではこれまで実施してきた活動の記録をご紹介します。
愛媛大学共催ジオパーク学習会2019を行いました。
10月20日(日)に愛媛大学共催ジオパーク学習会2019「西予発信:科学・博物学 研究」を開催しました。
会場は、14日(月)に開設されたばかりの「宇和米博物館地域協働センター南予」です。
この学習会は2部構成となっており、始めに愛媛大学大学院理工学研究科教授の佐藤久子先生による講演がありました。
佐藤先生は西予市宇和町出身で、宇和米博物館の建物が宇和町小学校の校舎として利用されていた頃に通われていたそうです。
当時の思い出を写真を見ながら振り返ったり、また当時から一般向けの科学雑誌を愛読するなど既に科学への関心を持たれていたことが紹介されました。
それから大学で研究を始めてからの恩師の言葉などもご紹介いただき、研究を続けていく難しさも感じることができました。
先生は「キラル」と呼ばれる分子の特徴や生成方法、一般社会への利用について研究されています。
キラルとは、我々の右手と左手のように鏡合わせになるとなる構造でありながら、自然界では全く別物扱いになる分子たちのことを指します。
例えばカルボンと呼ばれる分子は、元素の種類は全く同じなのに、その水素原子の位置が違うだけで2種類に分けられます。
その違いは我々にとって「匂い」で判別することができ、一方はキャラウェイの香り、もう一方はスペアミントの香りがするのだそうです。
こうした特性は、化粧品や有機ELなど生活に身近な製品の開発において利用されています。
中でも現在先生はアルツハイマー病の原因としてアミノ酸のキラルに着目し、治療の進歩に向けた取り組みを続けているそうです。
講演後も学生を中心に将来の進学のことや、キラルに関する多くの質問がありました。
第2部では愛媛大学の学生たちが博物館実習の一環として野外の標本採集を四国西予ジオパークで行った、その成果発表会です。
昆虫採集を行った班は明浜で採集できた2種のアリジゴクについてご紹介。
アリジゴクは幼虫と成虫(ウスバカゲロウ)で大きく姿が異なります。実際に成虫の標本も展示されてました。
「カゲロウとはずいぶん姿が違うんだねぇ」と発表を聞きに来られたジオガイドさんも発表を楽しんで聞いていました。
海辺の生き物を採集した班は貝殻の標本を展示していました。
また「ワレカラ」と呼ばれる、海藻に付着する節足動物の液浸標本も数多く展示していました。
明浜で石灰岩を採取した班は、石灰岩に含まれる方解石の紹介。
方解石(炭酸カルシウム)は貝殻の内側の真珠層などを構成していたもので、石灰岩が海の生き物たちの殻からでき上がったことを示す成分です。
実は酸性の液体に触れると化学反応が起こり、二酸化炭素のガスが放出されます。
会場では実際にレモン汁を使った実演が行われていました。
採集した石灰岩の中には、実際に層孔虫(海綿に似た網目状の組織を持つ動物)やウミユリなどの化石が含まれており、どこに入っているのか学生さんたちに教えてもらい楽しいひと時を過ごしました。
もっともっといろんな方に発表を聞いていただきたかったのですが、この日は西予市内でも様々な場所でイベントが開催されてました。
愛媛大学から今回のポスターをいただけることとなりましたので、様々な機会で市内各施設に展示したいと思います。
(事務局:榊山)