活動アルバム
市内外の皆さんに四国西予ジオパークを理解していただくため、イベントや研修会など様々な取り組みを行なっています。ここではこれまで実施してきた活動の記録をご紹介します。
【現地視察】岩手県沿岸被災地で実施する自治体向け研修モニターツアー参加
2月27日(木)~28日(金)の期間で三陸ジオパークを訪れました。
今回は「岩手県沿岸被災地で実施する自治体向け研修モニターツアー」に参加にての視察研修になりました。
復興庁のご支援により東京からの新幹線代、宿泊費、現地の食事代、ガイド経費、全て「参加費無料」でした。
愛媛県から岩手県に行くとどうしても費用の方がかかってしまうため、各ジオパークの現地を見るにはとても有効な手段だと思い参加しました。
また、四国西予ジオパークでは防災教育に力を入れています、なぜなら西予市は沿岸部がリアス式海岸のため、非常に影響を受けてしまうからです。
西予市の三瓶地区はこのような地形です。三陸と非常に似ています。
1日目
(1)学ぶ防災 <宮古市田老地区>
現地のガイドの方に田老地区を案内してもらいました。
宮古市田老地区はテレビでも登場するぐらい有名な場所です。周りの家はすべて無くなっていて、たろう観光ホテルだけが残っている様子を見ることができました。たろう観光ホテルの前には第2防潮堤がありましたが、津波により潰れてしまいました。それはこのリアス式海岸と新しく作られた第3防潮堤の影響ということが分かりました。そのため、第2防潮堤の先にあった家は引き波で流されてしまい、まだ行方不明の方が多いそうです。この場所以外の家の住民はすべて発見されているそうです
現地の方のガイドは本当につらかった経験をすべて話して頂き、見ているこちらが辛くなり、心苦しいものでした。また、この防潮堤に住民は完全に頼り切っていたために今回180人の方が犠牲になりました。ハード面に安心していることが防災には繋がらないということが一番伝えたかったことではないでしょうか。
最後に、身近な簡単な防災について教えてもらいました。
(駐車場は絶対バックですぐに発車できるように。履物は並べてすぐに履けるように。エレベーターは使わずになるべく階段で。懐中電灯と笛は常に常備)
(2)震災から学び得た教訓とコミュニティの重要性 <宮古市>
復興に向けて最前線で動かれていた方の話には説得力がありました。物資と言えば水と毛布でしょうが、被災地にはこればっかりに送られてくるので余っていたという話は驚きました。本当はレトルトやもう少し温かいものがほしかったそうです。また、仮設住宅にはコミュニティを大切にするためにあえてシャッフルして抽選する方法はなかなか斬新な方法だと思いますが、これが長期的なコミュニティ維持には正しいのではないでしょうか。
また、質疑応答の時に、ガソリンの問題が出ました。被災した時にガソリンがあるのはすごく有効なことだそうです。例えば、冬の場合車の中で暖房が使えるのはかなりうれしいことらしく、できることなら常に満タンしておいたほうがいいと話を聞きました。
2日目
(1) 仮設住宅に住む住民の心とコミュニティシップ <大槌町>
午前中は現地のガイドの方に案内してもらいました。この方は役場のそばに住んでおられるため、この周りのことはよく知っておられました。
大槌町もリアス式海岸がかなり発達している地域で、役場の周りはほぼ壊滅状態でした。そのため、仮設住宅の近くには仮設住宅に作られた商店街がありました。TSUTAYAやファミリーマートなどの大手もこの中に入っていたのは驚きでした。この地域も自主防災組織ができており、年1回大きな避難訓練もしているため、話をしてくださったガイドの方は奥さんと手分けして避難を行ったそうです。ただ、残念なのが役場職員で職員の3分の2が津波の犠牲になり、町長や課長もその中に含まれていたそうです。1日目におどずれた田老地区と同じく、過去の津波から防潮堤を作った結果、これに頼りすぎていた面は否めないと思います。
ガイドの方は現在仮設住宅のコミュニティを作り、日夜いろいろな活動をされていると教えてくれました。ウォーキング大会やバスツアーなど。震災から3年経過して83歳のおばあちゃんは押し車を使って最初は歩いていましたが、今は杖で歩いているそうです。体がどんどん元気になっていく仕組みを作られており、大変感心しました。
(2)被災者の心のケアの重要性 <釜石市>
釜石市では被災者を助けるための3つのサポートセンターがあるそうですが、私たちが訪れたジャパンケアサービスは24時間営業で診療所があるという大変便利なところでした。また、東大の先生に協力していただき、血圧の管理などをデータ化して毎日釜石から東京へ送っているそうです。そのため、このサポートセンターからインフルエンザや孤独死は0です。ただ、人員がかなり不足しており、最初はすごく大変だったという苦労話も聞かせてもらいました。
仮設住宅にもいろいろ種類があることがわかりました。小さな子供がいる子育てゾーン、一般の被災者ゾーン、心に傷を負っている人や病気の恐れがある人のゾーンと区分けされているそうです。中にも入らせてもらいましたが、床は相当寒かったです。仮設住宅は2年が通常で、1年更新だそうです。
2日間を通じて、一番思ったことが「住民の防災への意識」これがないとどの地域でも大きな被災になります。釜石市の子供たちは防災への意識が強く、家族を自ら引っ張って避難したそうです。常日頃子供たちへ防災の意識付けを行う授業を行ってきたことが今回の震災につながったのではないでしょうか。
また、「防災は難しい」ということも分かりました。どれだけ大きな防潮堤を作っても簡単に壊されてしまう。田老地区はX型に防潮堤を作ったにも関わらず今回の震災で大きな被害がありました。つまり、「防災ではなく減災」これを考えることが今の防災につながるのではないでしょうか。今回見てきた地域は西予市の三瓶・明浜に非常に似ています。おそらく、南海トラフ地震が少しでも愛媛側で発生してしまうと、大きな津波が来ることになります。地形上ものすごく被害を受ける可能性があります。近年、愛媛では大きな自然災害に見舞われていないため、住民の防災意識はすごく低いと思われます。そこをどういう風な形で意識を上げるかが各市町村の防災担当の悩みだと伺いました。いつ起こるか分からない、今まで行ったことがないという意識を変えるために「ジオパークと防災」をテーマに今後も各地で防災教育を行っていきたいと思います。