庶民や遍路、藩主も通った峠道
笠置街道は、卯之町と八幡浜をつなぐ街道の一部で、標高397mの笠置峠を越える道です。麓の寺院が所蔵する大般若経の一部に矢野保舌間浦(八幡浜市舌間)で書写したものがあることから、遅くとも室町時代には峠を介した交流があったと考えられます。また寛文元(1661)年の宇和島藩の絵図にも記されており、江戸前期には主要な街道であったことがわかります。地元には遍路にまつわる言い伝えも残され、二宮敬作やシーボルトの娘・おイネさんなどの蘭学者もこの道を越えた可能性があります。この道は、平成29年10月に国史跡に指定されました。