宇和海の豊穣な海と水産業

宇和海は水産業が盛んな地域です。昔ながらの一本釣りや巻き網をはじめ、真珠養殖など育てる漁業も盛ん。なぜ、宇和海は好漁場なのでしょうか?

宇和海が豊穣な海である理由

山と豊後水道から流れ込む栄養分

急傾斜地が続く宇和海の沿岸では、山々からミネラルが流れ込むとともに、底入り潮や澄み潮の働きで豊後水道から栄養分が流れ込みます。それを求めて微生物や魚が集まります。

魚つき保安林

魚介類の生息にとって重要な海岸林などは「魚つき保安林」に指定され、伐採に一定の制限があります。西予市内では、三瓶町長早や明浜町狩浜などにこうした森が存在します。

黒潮による回遊魚と海水交換

宇和海には太平洋から黒潮が流れ込みます。この黒潮にのってアジやマダイ、マグロなどたくさんの回遊魚がやってきます。黒潮が流れ込むため透明度と水温が高く、リアス海岸で水深も深いことから養殖筏の設置に適しています。

魚の棲みか「魚礁」の存在

魚礁とは、海底の浅い高まりになっている場所で、魚たちが集まる習性があります。そのため、ブロックなどを沈めて人工的な魚礁をつくることもあります。リアス海岸を特徴とするこの地域には、天然の魚礁が多く存在します。

西予市の海で水揚げされる、主な水産物

アジ

西予市三瓶町では、一本釣りで釣り上げられ厳選されたアジを奥地あじとしてブランド化し、「四国西予ジオの至宝」に認定しています。

しらす

しらす(ちりめんじゃこ)も多く水揚げされます。しらすはイワシの幼魚で、マイワシ、カタクチイワシ、ウルメイワシの3種類があります。

マダイ

愛媛県の魚である「マダイ」は、古くから祝い事には欠かせない高級食材として用いられてきました。日向めしなどの郷土料理も伝わります。

イワシ

マイワシやカタクチイワシなどのイワシが巻き網漁でよく水揚げされます。イワシは唐揚げ、煮つけなどで美味しくいただきます。

真珠養殖

西予市明浜町の海は外洋からの波を遮る入り組んだ入江で波穏やかなため、真珠の養殖に適しています。

ヒラメ

三瓶町では、海水を利用した陸上の施設で、ハーブをブレンドした餌で育てる「ハーブ媛ひらめ」というブランドヒラメを養殖しています。